学童期の運動の重要性

「ゴールデンエイジ」という言葉を聞いたことはありますか? 

ゴールデンエイジとは、一生に一度だけ訪れる「運動神経が伸びる黄金期」です。この時期に運動環境を整えることで、子どもの運動神経がぐんと伸びると言われています。

ゴールデンエイジの年齢については、専門家によって1、2歳の差があるようですが、トップアスリートや子ども向けの運動能力アップトレーニングを行なっているアークアスリート代表樋口彰美氏は、6~12歳頃をゴールデンエイジと定義しています。

スキャモンの成長曲線でも、この時期の重要性が示されています。スキャモンの成長曲線は、米国の医学者・人類学者スキャモン(Richard Everingham Scammon)が発表したもので、教育学や体育学・保健学などの分野でも知られているものです。
スキャモン発育発達曲線
神経型・リンパ系型・一般型・生殖器系型の4つ曲線があり、生まれてから成人するまでに人体の各部位が成長する度合いをグラフ化したものです。

神経型は、脳・脊髄、眼などの神経系、リンパ型は免疫にかかわるリンパ組織の発達を示します。一般型は身長・体重や胸腹部臓器(呼吸器・消化器・循環器・筋肉・骨格)、生殖器系型は、睾丸や卵巣などの成長を示します。

神経型は、自分の身体を動かしたり、コントロールする能力に関わります。神経型はおおむね5歳までに成人を100%とするとほぼ80%まで成長し、12歳ごろまでにほぼ100%まで成長するとされています。

神経型の発達によって神経回路が形成されていきます。さまざまな神経回路はいったん形成されると、高齢になるまで消失することはありません。自転車に乗れたり、さかあがりができるようになると、ブランクがあってもまたできるのもそのためです。

5歳くらいまでに80%ほどまで成長した神経型をさらに発達させるのが、ゴールデンエイジです。この時期に活発に動き、さまざまな経験を積み、多くの刺激を受けることで神経回路が形成されます。こうして形成された神経回路がいわゆる「運動神経」なのです。